【試験研究】NewPort社製 光パワーメーター 843-R
はじめに
ひょんなことから、NewPort社製の光パワーメーター Model 843-Rを入手しました。 メモを書きます。
NewPort社はアメリカの会社で、光学実験台などの製品をいろいろな研究機関で目にします。 日本の総代理店は日本レーザー(ジャパンレーザー)です。 "Power Meter Model 843-R-USB" は、2024年1月段階でも現役のようで、HPを見ると税抜249,000円です。 eBayでは中古品が550USDぐらいで出回っています。 青色のNewPortカラーがカッコいい光パワーメーターです。
外見
- ディスプレイのついたハンドヘルド型
- 上面に、ディテクタ接続端子としてDSUBにBNCがついたものがある。その両脇に、USB-MicroBコネクタとACアダプタのコネクタ、そして"ANOUT" と書かれたアナログ出力がある。
- ディテクタは、818-ST2がついていた。厚さ5mmの薄型。818-ST2-UVでも、818-ST2-IRでもないので、可視光用。400-1100nmが測定レンジ。税抜161,000円する。
特徴
- 内蔵バッテリがある。12V 2AのACアダプタでチャージする。
- 側面がゴムになっていて、持ちやすい。
- ディテクタは設定で変更するのではなく、メーカーによる校正データとともに埋め込まれる形。ユーザーは変更できない。この本体には、818-ST2がついていた。シリコンフォトダイオード。
- ディテクタ測定波長は、400, 750, 1100から選べるようになっている。
- 平均化機能は 1, 3, 10, 30 sec, 1, 5, 10, 30 min, 1hから選べる。
- 商用周波数を50/60Hzから選べるようになっている。電池電源からではなく、ACアダプタからも給電されるので、そこからのノイズを除去するためか。
- [設定]>[フィルタ]の「フィルタ」とは、attenuation filter (減光フィルタ) の意味です。ディテクタには1/1000にするフィルタがあり、これを入れたときはここを "IN" にします。外した時は "OUT" にします。IN/OUTを切り替えると、値がほぼ3桁変化します。減光フィルタはNDフィルタでしょうが、厳密には波長依存性があります。恐らくですが、この波長依存性を込みで校正してくれているのだと思います。
ファームウェアアップデート
ファームウェアのバージョンが古かったのでアップデートしました。
- NewPortのサイトから、"843-R Firmware Version 1.56 (11MB, ZIP)"をダウンロードします。ファイル名は "843-R_Ver156.zip" でした。
- 解凍(普通のWindowsなら上記のzipファイルをダブルクリックするだけ)して、デスクトップなどに "843-R_Ver156.exe" をコピーします。
- 843-R_Ver156.exe をダブルクリックして実行します。Windowsに.NET Framework 4がなければダウンロードしてインストールする必要があります。.NET Frameworkとは、WindowsのGUI関係のライブラリです。
- ファームウェアをアップロードします。手順は下記のとおりです。("843-R-Field-Upgrade-Instructions.pdf" に書かれていますが…)
- 843-Rの電源をオフにする。電源ボタン(中央下の丸いボタン)を長押しします。マニュアルには5秒とか書かれていますが、2秒ほどで電源が切れます。
- USBケーブルをPCと接続します。Type-AとMicro Bです。
- [Next] をクリックします。
- 843Rのディスプレイの下に並んだ4つ並んだボタンのうち、右から2つ目を押しながら、電源を入れます。
- 検出器を見つけたというメッセージが出て、ファームウェアが転送されます。しばらく待ちます。"Firmware upgrade in progress" と表示されます。
- もう一度電源ボタンを押して、[Exit]をクリックします。
- 10秒ほど待ってから電源ボタンを入れます。
- 「次回校正日」というメッセージが出ます。センサの校正期限が過ぎたので、メンテに出しなさいと言うことです。843-Rの右端のボタン(続ける)を押します。
- 843-Rの右から2番目のボタンを押して、右上にあるファームウェアバージョンを確認します。"843-R 1.56" になっていました。